4~5歳男児が水鉄砲で一人遊んでいる。
こちらを見てニヤリとした。
実際は、笑ってはいない。
が、その目が一瞬光って見えた。
その子の前を通り過ぎる。
俺の後ろへ廻る気配。
配達のためカブを止める。
そして、
偶然撮れていた
動く光。
子供を指して天使のよう、と表現する。
まあ赤ちゃんまでだな。
女の子だとおしゃべりを始める頃にはとっくに女の思考と行動をする。
過日のモエレ沼公演TT見物の折の話。
たくさんの幼児たちもレースに参加していた。
レースに際してどの顔も緊張を隠せない。
強い不安を覗かせ乍らも、全身に闘志を漲らせ目は尖っている。
頼もしいなぁ、と身惚れていた。
午後の大人のTTが始まる前の事。
俺は立ち木の影でレースの始まりを待っていた。
その児たちがコース脇を自転車で遊んでいる。
目の前を通り過ぎる時、こちらにチラリと目線をくれる。
女の子、男の子数人が同じように、どうよ!?の催促をしている。
自慢する顔。
女の子は、少し上目で。
男の子は、顎を突き出し気味に得意な顔をひけらかす。
褒めて欲しいのだ。
格好いいと。
俺は、素知らぬ顔を作る。
いじわるが楽しい。
冗談じぁないぞ。
ジジィーだから
みんながお前たちを褒めそやすとは、限らないのだ。
世の中にはこんなに臍の曲ったジジィーもいることを覚えた方がいい。
で、先の水鉄砲の男の子。
男児の顔は、悪魔に変身している。
目は攣り上がり爛々と輝きをたたえる。
口は裂け至高の喜びを成し遂げた姿を
想像して涎を流さんばかり。
停まった俺は、振り返る。
睨むわけでなし。
男児の目を見る。
どうした?
なんかあったか?
な顔を作る。
男児は、すごすごと向かいの我が家の庭へ引き下がった。
彼はカブを攻撃したかったのだ。
その時、俺は彼を叱らなければならなくなる。
水くらいで叱ったとなればこちらが狭胸。
叱られる。
他人の物に水をかけてはいけない。
俺がカブから離れた隙を狙うつもりだったのだろう。
そして素知らぬ顔で見送る。
悪事は、楽しい。
人への危害が、エスカレートしかねない。
昨年冬、カブめがけ陰に隠れて雪玉を放ってきた児がいた。
探して叱った。
過去に鏡で太陽の光を反射させ、運転する顔に当ててきた児がいた。
車をUターンし、叱った。
水鉄砲の児は、そうなりえる。
そしてもっと大きな悪魔へ育ってしまう危険を孕む。
ん、大げさに過ぎる?
幼児の時分から持ち続ける悪魔からの誘惑は、人生を通してある。
水鉄砲でカブを狙われてもさしたる危険があるでなし。
素知らぬ顔で楽しませてやればいい。
とも思う。
いや、俺の中の悪魔がそんな楽しみに蓋をしてやったのだ。
このおやじ、アゴハリ一族。
世界に散らばり社会を斜めから見つめブツブツ文句を垂れ
世界に散らばり社会を斜めから見つめブツブツ文句を垂れ
世界の滅亡を防ぎつつ勝手気ままに生きている。
札幌市在住、顎が張っている、へそ曲がりで頑固。
物事を斜めから見る習性があり周囲に疎まれる。
趣味:ロードバイク/ クロス カントリースキー/ そして、コンサドーレ札幌のサポーター