2017年6月5日月曜日

実行脳

立ち上がれない。
都倉が座り込んだままで。
芝生に頭を埋めてしまうのではなかろうか
と思えるほどうなだれている。

チームは、サポーターへの挨拶のためコーナーで横一列で並び終えている。
もう一人激しく落ち込んでいる選手がある。
倶・ソンユン

見かねて四方田監督が迎えに来た。
都倉は、促されてうつむいたまま立ち上がる。
四方田、都倉の背中を軽く叩く。

ゴールから倶も大きな体を小さく、小さくすぼめ
脱いだユニフォームを引き釣りトボトボ、ダラダラと戻ってきた。
やはり四方田が迎えて背を叩く。



夕餉は、厚岸の牡蠣。
オリーブオイルで炒める。
コンササポート企業
さっぽろビールの
おまけクリアファイル。
大好きなエビスビールで
試合を振り返る。





俺の、
嫌、俺だけでなくコンササポーターの皆の脚が重い。
額に縦の陰が張り付いている。

遠いなぁ。
馬鹿、
なじ る声もあるが怒りとは違う。
口惜しい。
チャンスは何度もあった。
そのチャンスを物に出来ない。

ドームを出るまで何分を必要としただろう。
身体の力がどこかへ抜けている。

こんなに魂の抜けてしまったことは、いつ以来だろう。

小学校の低学年頃だった。
近所の子に乱暴をして泣かせた。

とてもいけないことをしたような気持になりプチ家出をした。
結局どこへ行けるでもなく夜が更けて腹が減ると,足は自然に家へ向いてていた。

あの時は、こんな感じだったけ。

ドームの外は、小雨が続いていた。
昼から晴れるだろうと予想したがこちらも外れ。

Jamis2号もしょぼふる雨に打たれてうな垂れていた。

脚が重いなぁ。
あ~あ、重いなぁ。

羊が丘展望台までの坂道は、ゴルゴダの丘と化していた。
俺の背中にイエスと同じ十字架が乗っている。

ふらり、ふらりとペダルを回す。
ふ~~むと長い吐息が漏れる。

吐息が漏れる毎に活力が失われてゆく。
精気を吸い込む魔物ディメンターが空の上で片方の口角を上げている。

濡れた自転車を拭き上げチェーンの汚れを落としオイルを差しておく。
それから部屋に戻り66歳のふて寝。

と、ここまでは昨日の試合が終わり帰宅して書き上げた。

眠れない、で小説堂島物語の終盤を読む。
他愛もない出世と純情の物語。
だが興味が尽きない。

1時間ほどで読み終えた時、俺は活き返っていた。

3時に試合が終了。
気分が回復していたのは、5時30分。
その間150分。
たった、150分で復活出来る程度の落ち込みなのだ。

北海道コンサドーレ札幌には、まだ20試合の猶予がある。
幸いに下の3チームは、負け2チーム、引き分け1チームと順位はそのまま。
札幌の上に2チームを入れて6チームが
2017年J1リーグの降格争いを演じるグループを形成した。

代表戦のため2週間のインターバルがある。
その間どのチームも巻き返し策を講じてくる。

柏とのルヴァンカップで一応の新生戦術の手応えを感じ
昨日でそれが通じそうな雰囲気と言うところまでは出来た。
間違ってはいない。

後は、作ったチャンスをものにすることが出来るか否か。
ここは、技術ではない。
脳味噌でゴールを奪うこと。
試合脳と言うらしい。
実行脳ともいう出来るイメージと勝つの意思。
これなくして勝ちはない。

落ち込むことは必要な事。
だが何度でも立ち上がれ。
10カウントを聞くまで負けていない。
ホイッスルを聞くまで試合は、続いている。
疑うな、疑いは迷いを生む。

やれないと思うな。
君たちは、やれる。
やれるからそこにいる。
やれないことは、毎日の練習で出来るようになる。
やれることを迷いなくやり切ること。
徹底的にやり切ること。

それが出来た時、J1残留の結果となっている。


このおやじ、アゴハリ一族。世界に散らばり社会を斜めから見つめブツブツ文句を垂れ
世界の滅亡を防ぎつつ勝手気ままに生きている。
札幌市在住、顎が張っている、へそ曲がりで頑固。
物事を斜めから見る習性があり周囲に疎まれる。
趣味:ロードバイク/ クロス カントリースキー/ そして、コンサドーレ札幌のサポーター

広告