2015年10月24日土曜日

はかない

短編続きVol.7

その日は、そこまで巡って駅まで戻った。
自動販売機の設置された無人駅で切符を求め列車の到着を待つ。
ベンチに腰を下ろす。

それにしても人がいない。
出会ったのは弓一人。

空は、秋特有の済んだ水色で所々に浮かんだ雲はのんびり遊覧飛行を楽しんでいる。
でもその下のこの土地には、人の気配がない。
静かすぎる。

都麻に訝いぶか しい気持ちが芽生え始めている。

振り返ると相変わらず銀泥の葉が白く反射していた。

もう少し 続く かも











キューリやトマトをぶら下げていた弦が枯れている。

秋は、儚はかな い季節。
はかないといえば、履いてます という海パン芸人の来年は?
揚げてないから、あげない のセイコーマートコマーシャルがあるかと思えば、
出てこないから出て行かない というコマーシャルもあったったっけ。

儚かろうが、履いていようが、
揚げいようが、揚げていなかろうが
この手の言葉遊びCMは、耳に残る。
ただそれだけの話。

そんなどうでもいい話とは別に、
うちのベランダには、蒸した安納芋が干されている。
これが干し上がると、芋羊羹のようにネチットした食感。
自然の甘みと薩摩芋特有の香りがコーヒータイムに極上の菓子となる。
寒くなるとベランダは、蝿類が出現しない格好の加工場に変身する。

干した大根を糠床に入れてみた。
3日で出来る沢庵漬けってところ。
しわい歯ごたえが頭蓋骨に反響して心地よい。

※しわい:祖母が噛み切れない硬いものをこう表現していた。

氷点下になる前にもっと大根を干そうっと。

ベランダが冷凍庫になると、
大根は、トロけるおでん種に変身する。
これも美味。


このおやじ、アゴハリ一族。
世界に散らばり社会を斜めから見つめブツブツ文句を垂れ
世界の滅亡を防ぎつつ勝手気ままに生きている。札幌市在住、顎が張っている、へそ曲がりで頑固。
物事を斜めから見る習性があり周囲に疎まれる。
趣味:ロードバイク/ クロス カントリースキー/ そして、コンサドーレ札幌のサポーター

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