サイクリングプラザ
前日出発5時30分
翌日同到着2時30分頃
所要時間22時間のツアー。
札幌~稚内318Kmの自転車ツァー。
過酷なはずなのに完走者5名は、
きつい、大変、ケツが痛い
などと口で言う割に涼しい顔をしている。
俺より2歳上の片岡さんも少々前傾の歩き方ながら
団塊の世代は、強い。
などと嘯うそぶ いている。
斯かく言う俺はというと、物凄い嬉しい。
この上なく幸せ、至極の世界をのたりふわりと浮かんでいる。
5時30分に出発した一行は、
水源池通りを北郷へ下る。
北郷から国道275号線へ抜ける。
この時点で俺は、
息が上がる、口が開く、涎が流れ落ちる。
速い、いくら隊列で空気の抵抗を受けない走りができるにしても。
速すぎで一杯、一杯。
付いていけない、こりゃ、無理だべ。
稚内どころか1回目の休憩地月形:約50Km地点までも絶対無理。
ちぎれる俺を気遣って千葉さんが声を掛けてくれる。
ここで千切れると付いていけないですから僕の前を行ってください。
いや、先行って自分のペースで行くから。
絶対千切れる自信ありの俺に関わると千葉さんが付いていけなくなる。
どんどん先を行く6名、目線の先にとらえることすらできない。
さて、選択肢は?
1.月形でギブアップする。
2.月形からもう一度ついて行き千切れたところでギブアップする。
この二つが浮かんでいた。
遅れて月形に着くと五十嵐さんが手を振り迎えてくれる。
メンバーは、少しくつろいでいる様子。
3番目の案が浮かぶ。
北野師匠に自分は、休憩を入れずこのまま走らせて欲しいと懇願。
そのまま、先行をする。
次は、50Km程の区間、雨竜町の休憩。
先行して、休憩地まで10Km地点ほどで吸収され、そして千切れ。
ここでも、自分は、休憩を入れず先行させてもらう。
北野師匠は、まだここで10分くらいは休憩しています、と許可。
サポートカーの奈良さんが、
あまり離れるとサポートに支障を来たしかねない、 と釘を刺される。
次は、55Km区間小平町休憩。
自身の納得のためにどうぞ
のニュアンスで許可してくれた北野師匠の温情に感謝しつつ。
これで最後だろうなぁ、覚悟を決め走る。
留萌の峠前で捕まるかと思いきや峠を過ぎても後続が来ない。
峠をほぼ下り切ったところで
お疲れさんで~す。
後続の内2名、渡辺さんと大村さんが抜いていった。
ここで離されるとギブアップしなければならない。
追ついて行く。
あれぇ、ついていけるかも~?
そのうち残りの後続も合流して隊列の一員になる。
田邊さん、合流できてますねぇ。
声がかかる。
う~ん、なんでついていられるんだろう?
留萌の市内を過ぎるとやはり千切れるが、小平町まであとわずか。
小平の休憩地点で急ぎ納豆巻きを1本腹に入れ。
粘れ~俺。
先行しま~す。
さっきの走りでまだいけそうな雰囲気を感じてくれたのかすんなり送り出してくれた。
早~い、もう行くんですか~などと言っているが、
俺を心配している様子なし。先行をどこで飲み込んでやるか、出来るかを楽しんでいるらしい。
俺は、稚内へ行きたい一心。
荷物をもたずこれだけのロングを走るチャンスは、めったにない。
駄目なら護送車に乗るだけ。
捕まってなるものか。
俺は、リチャード・キンブル:逃亡者と化していた。
奈良さんに 稚内へいくどう! と雄叫ぶ。
雨竜では、かなり心配顔だった奈良さんの顔が微笑んでいる。
海岸線を50Km弱北上、羽幌町が次の休憩地。
数回のアップ、ダウンを繰り返す、きつい。
後15Km程で吸収、千切れ。
羽幌では、サンドイッチを食べ先行する。
俺の中に80%いけるかもしれない、の気持ちが芽生える。
次は、天塩で休憩。
あと20Km位、次の休憩地点の路肩で小用の隙に一隊は追い越してゆく。
しかし、俺には気が付いていない。
サポートカーの奈良さんと故障の千葉さんが気付いてくれた。
本隊は、いつまでも追いつけないことを訝いぶ っているだろう。
バスは、俺を確認しながら先行しては、止まるを繰り返してくれたが。
本体のフォローのため見えなくなる。
次の天塩の休憩地は、232号線を離れ道道106号線。
この分岐点で護送車、
奈良さんの顔は、厳しくないので捕獲指令が出ているわけではなさそう。
逃亡者にも協力者が必ず出現するものだ。
俺を休憩地点へ誘導してくれる。
なくなりつつある水をヨーグルトと一緒に購入。
速攻でヨーグルトを腹に入れ、
次の休憩地は、どこですか?
そこの青看で67Kmです。
ここから休憩は、ありません。
恐る恐るお伺いを立てる。
遅れ遅れですがこのまま行っていいでしょうか?
北野師匠
ここまで来たらしょうがないでしょう。
ここまで来てダメを押されたらどれだけ恨みに思うかしれない。
と察したか?
買った水を水筒に入れペットボトルの残りを飲み干す。
あれ~?水は、炭酸水だった。
でも乾いた体に滲みわたり美味い。
糖分も一緒に細胞に吸収されて行く。
今一度、
稚内へいくどう! 叫んで先行出発。
67Kmは、俺の脚でもせいぜい2時間30分。
悶えながら、楽しみながらペダルを踏む。
一回転づつ歩を進める。
変化のない草原の道を一人旅。
途中、エンジンが焼き切れるのではないか、
と思えるほどスロットル全開のオートバイク3台が走り抜けてゆく。
気持ちは、わかるけど大きな事故につながる。
気を付けないば馬目だべ。
小さな羽虫が多い。
口に飛び込む、耳に飛び込むサングラスに当たる。
去年、女房とトンボの黄昏飛翔たそがれひしょう を見た。
時間は黄昏に差し掛かる頃、これもその類の現象か?
青看は、あと30Kmを掲示している。
一人こぶしを挙げていた。
あと1時間、あと60分廻し続けるとゴール。
ところが、
あと26Km。
海岸線をひたすら走るのだが
23Km 歩みが鈍のろい。
脚にきているのか?
いや、若干の向かい風。
まだ、本隊の気配がない。
20Kmを切ってもまだ来ない。
俺、ゴールの北防波堤ドーム不案内なんだけど。
10Kmを切ったところ、ノシャップ岬の登り手前で
ガンバ! あと少しです。
本体に吸収される
登りはきつい、あっという間にちぎられる。
夕日が丘パーキングで利尻富士をバックに記念写真。
は、俺抜き。
こらぁ、少し待って俺も入れろ!
これから15分くらいでゴールです。
ここからは、凱旋パレードです。
ゆっくり目で行きます。
あと少し残した登り、
おお~い、ゆっくじぁなかったのかい。
少し遅れてもそこは市街地、信号が助けてくれる。
稚内港へ向かいペダルは、軽い。
メンバーの後ろに付けと師匠の支持。
サポートカーが到着のシーンを撮るので、
二人づつ隊列を組み腕を掲げてゴールします。
札幌~稚内318Kmのドラマは、完結した。
北防波堤ドーム
1936年完成
桟橋~国鉄駅を
繋ぐ通路として
5年かけて完成。
このおやじ、アゴハリ一族。
世界に散らばり社会を斜めから見つめブツブツ文句を垂れ
世界の滅亡を防ぎつつ勝手気ままに生きている。札幌市在住、顎が張っている、へそ曲がりで頑固。
物事を斜めから見る習性があり周囲に疎まれる。
趣味:ロードバイク/ クロス カントリースキー/ そして、コンサドーレ札幌のサポーター
世界の滅亡を防ぎつつ勝手気ままに生きている。札幌市在住、顎が張っている、へそ曲がりで頑固。
物事を斜めから見る習性があり周囲に疎まれる。
趣味:ロードバイク/ クロス カントリースキー/ そして、コンサドーレ札幌のサポーター