2016年5月19日木曜日

歯型差し上げます。

俺の唯一の学校一番がある。
中学三年生の時の事。

もう50年も昔のことになる。

そのころだと50年の歳月など想像の外。
10年先でさえ自分の将来などに思いを馳せることが出来なかった。

第二次大戦が終了して日本に一応の民主主義がもたらされ
平和が戻ったとき、団塊の世代と呼ばれるベビーブームが起きる。
俺は、団塊の尻尾世代。

平和が戻ったといっても裕福になってわけではない。
皆貧乏だった。
冬の朝は、布団の襟に霜が降りていた。
甘いものが食べたくてもおやつなどもない。
熊蜂:クマンバチを捕まえて針を抜く、
根元に蜂蜜が付いている。
それを口に含むと甘くて少し苦くて。
それは、美味。
若干の恍惚感、刹那の幸せを得られた。
こんなに貧乏だった。

突然問題
歯型彫刻をなんと読む?


このブログを書き始めて識る。
しけい彫刻と読むんだと。
歯科医療従事者に必ず必要な技術で学校では、必須科目。
特に歯科技工士は、国家試験に組み込まれている。







コンテストも存在していた。







学校では、歯磨きの教育も盛んで朝、晩の歯磨きは欠かさずしていた。
しかも歯磨き粉は、純正石鹸製。
口中の衛生状態は、すこぶる良い。
合成洗剤などまだなかった時代。
だからよかったわけだ。

虫歯が一本もない。

年に一回の健康診断以外歯医者になど用事がない。

ある日、先生に町の歯医者に行くように指示される。
虫歯が一本もないということで歯の学校代表に選ばれていた。

中学3年は、2クラス計90名超。
その中の一名だけなのだから、学校一と自慢できる。
歯医者に行く、つまり一次予選。
一回戦敗退。

歯並びが今一と言う理由。

まぁ、悔しいとか情けないとかそういう感情は、一切起きず。
ああ、そうですか。

とは言え、その貧しさのお蔭で30歳過ぎまで歯医者知らず。
流石に少し虫歯が気になって
知り合いの歯医者へ通う。

この歯医者が、当時で50歳代。
5~6年前まで現役を続けていて俺もずっと付き合ってもらっていた。
つまり80歳を軽く過ぎてもうすぐ90歳に手が届こうという年齢。
ついに年齢に勝てず大病手術を機に廃業した。

そして、今は、近所の歯科医が掛かり付け。
此処1ケ月ばかり前に前歯を直してもらおうと再通院。

この間、一応全部を終了した。

そのとき、
歯型は、どうするんですか?
聞いてみた。

捨てるという。

捨てるなら貰うことは、出来ませんか?

えっ?

始めて申し込まれたと言う。

どーぞ、
ありがたく頂戴してきた。


手渡されて手を叩いて喜ぶ。
そんなに喜んでもらえるんですか?

上あごの右側2番目が、
今回の最後の治療歯。



虫食いを除去。
その穴を銀で埋める。

歯医者にとっては、使ってしまえばただのごみ。
しかし、俺には、お宝に見える。

へぇ~、こんな風に作られているのか。
へぇ~俺の歯は、こんな並びになっているのか。

楽しいではないか?

歯医者には、歯型差し上げます、
と患者に聞いてみた方がいいですよ。
アドバイスを入れておく。
ちょっとしたサービスにもなると。

中学から50年後の俺の歯は、銀歯や、セラミックで包まれている。
しかし、一応根っこは、残っている。
いつまで持つことやら。

このおやじ、アゴハリ一族。
世界に散らばり社会を斜めから見つめブツブツ文句を垂れ
世界の滅亡を防ぎつつ勝手気ままに生きている。札幌市在住、顎が張っている、へそ曲がりで頑固。
物事を斜めから見る習性があり周囲に疎まれる。
趣味:ロードバイク/ クロス カントリースキー/ そして、コンサドーレ札幌のサポーター

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