2019年9月26日木曜日

死ぬこと以外は、かすり傷。

人の痛みは、100年待てる。
その通り。
どれほど気の毒に思ってみてもその人自身でなければ痛さなど知れようがない。

今回の怪我の衝撃は、形容の言葉を持たないほどであった。
そして相当の痛みを生んだ。

路面に投げ出され蹲うずくまる。
最初の行動は、車の往来。
自分の位置は、センターライン近く。
対向車に轢かれる心配は、なさそう。
同じ車線の後続は?
少し間をおいて停車してくれている。
目をつむり一度息を整える。
頭に浮かんだのは、生きてるな。

その刹那の痛みが最高値。
千歳市立病院に搬送検診後、帰札。
その夜は、自宅の布団に寝ることが出来ずにソファに座り寝た。
痛み止めの手は借りず。

病院でも
「我慢しないでくださいね、飲み薬が嫌なら座薬がありますから。」
看護師が何度も言う。
大層な我慢などしていない。
痛みを感じない体質なのだろう。
それとも日ごろの運動のお陰か。


新ヘルメット




昨日9月25日は、
事故から丸1ケ月が経ちプラス1日目。
肋骨は、体を左右に
大きく捩じるまでは至らずも、
プチプチもなく少しの違和感を感じる位。

鎖骨も肩下までの稼働なら
相当に使えるまで回復を見ている。

来たるべく自転車復帰のために
Jamis2号を点検に持ち出した。




事故後初めて愛車を眺める。
俺の体が、大部分の衝撃を受けたことで自転車のダメージは、ないように見える。
少しの汚れを拭き掃除して、タイヤの空気圧を整えて自宅を出ようとする。
手押しで行くつもり。
その時、「ジジィ、乗ってみたらどうよ。」と愛車が囁いている。

そぉっと跨って見た。
あ~あ、
至極、極楽、天国、快楽。

2019年9月21日土曜日

俺のボルトは9本。

頭の反対に尻尾がある。
お昼の反対に夜があり、
夜明けの朝と日の沈む日の入りは、それぞれの入り口出口となる。
入院生活でその両方を眺められた。

札幌市の日の入りは、藻岩山~手稲山辺りとなる。
眺める位置と季節でその位置は、違たがう。
病院5階の窓からだと藻岩山に落ちて行く。
ただ病院と藻岩山との距離が近すぎで余韻と言うやつがない。
瞬く間に落ちて行く。
落ちてからの夕焼けも見える範囲が狭く時間も短い。

それに比べると日の出は、随分と楽しませてくれた。
部屋の窓から眺めることができた。
4時30分を過ぎてから東の空が白んで来る。
そして空の機嫌が良ければ徐々に茜色に染まり始める。

ふと考える。
夕焼けと朝焼けにどんな違いがあるのだろう?
検索してみると濃さに違いがあるという。

日中太陽で温められた空気には、チリが混じり上昇する。
その大気を通すと赤色が濃くなるのだそうな。

退院をする前の晩、同室の工業大学生に朝焼けがよく見える話をした。
彼は、去年の夏に左足の骨折で入院。
今回は、その時に入れたプレート除去をするための再入院をした。
プレート除去に一年を経過したのは、大学受験との絡みからだという。

彼も同じく明日退院というタイミング。
「明日の朝起こしてください。」

「了解。」
彼の脚の骨を固定していたプレート














2019年9月20日金曜日

偉そうな態度の奴と媚びた奴。

最終入院していた病室は、5階で東に面した窓を持つ。
全三つの部屋に移動した。
最初の部屋は、同じ階の同じ並び。
俺は、入口ドアのすぐ右スペースを宛がわれる。
すぐ隣に20歳台と思しき若い衆、そしてドアの左に50歳代の人。
俺は、人見しりする。
小人時代に道を歩いて知り合いに出会うことが怖かったくらい。
こんにちはと一言が言えない。
挨拶をしなければいけないことは、よ~く理解出来ているから
挨拶の出来ないことを大いに恥じていた。

長じてからは、反対にすっと入り込む術を身につけた。
か、胸のランプが点滅して今にも燃料切れで崩れ落ちそうな状態。
既室者に軽口の一つもほざいてすぐに馴染めるほど心身は充実していない。
「失礼します。」弱弱しい声を発しただけ。
後は、背中や足の勾配を調整して座りのいい角度のベットに
身を横たえて獏と時間を喰らうのみ。

昼の時間は、院内全体が活動している。
同室の二人もガンダムを作ったりTVを観たりと思い思いに過ごしている。
少なくても居ずらい空間ではなかった。

隣の若い衆が4日ほど退院してゆく。
入れ替わりで斜め向かいに俺と同じ年配者が入ってきた。
腰痛で歩行困難らしい。
事あるごとに「いてててて、」と弱弱しく悲鳴する。
そして看護師との会話の中で「イヒヒヒヒ、」と媚びた笑い声を出す。
俺は、嫌いなのだ。

















2019年9月19日木曜日

病気を嫌うなら

8月25日支笏湖から千歳市へ向かう道で転倒事故。
救急車で千歳市立病院に搬送を受ける。
自宅付近に所在する整形外科の紹介を貰い26日朝一番で受診。
肺気腫のため外科を併設する病院に転送。
そこで即入院。













2019年9月18日水曜日

不随意

入院していた病院は、正面を東に位置取っている。
その正面に立つと院は、左右に広がっている。
1階2階が手前に張り出し3階からが塔になる。
その高さは、7階まである。
4階から上が入院棟になる。
中央帯が看護師詰所があり左右に必要設備帯がある。
病室は、東と西にそれぞれが伸びる。

8月26日初診で即入院を言い渡された。
5階の東向きで4人部屋。
各部屋に洗面所、トイレ付。
6時起床、21時消灯。

入院当初は、普通に声を出すことができない。
弱く浅い声。
骨折した肋骨が声を発する毎に破裂音がする。
音は、外に漏れるほどでない。
が、神経が振動を捉える。
それに伴い痛む。

肋骨は、全12本の対で上から左右第一肋骨~第12肋骨となる。
特に痛みが強かったのが右第7肋骨。
声すら痛みがあったのだから咳、くしゃみなど以っての他。

入院患者識別リストバンド












2019年9月17日火曜日

エコノミー症候群

今回の怪我騒動で全身麻酔とは?
調べてその触りだけでも理解できた。

ガスが出たのでもう大丈夫ですね、過去に見聞きしていた。
あれは、内科特有の話だと認識していたのだが然に非ずであることも初めて知る。
頭から足の爪先までの体内の神経、筋肉、内臓すべてが麻痺させられる。
腸も同じでその運動が通常に戻ったのを計るのがガスだったということ。
今は、ガスを待たずにお腹に聴診器を当てて蠕動運動を聞いていた。

診察行為は、医者の専属かと思いきや看護師も聴診器を使用している。

少し話が逸れる。
冒頭にその触りと書いた。
勿論この場合は、全身麻酔に対する認識の入り口という意味で使った。
が、間違い。
触りの語源は、浄瑠璃にあってその意味は、サビ。
つまりは、クライマックスということ。
まるでその意味が違う。

話を戻す。
全身麻酔から覚めてくる。


2019年9月17日日の出前













2019年9月16日月曜日

濃密で怪しい世界

入院していると朝、晩一日2回検温、血圧測定がある。
大小トイレの回数も聞かれる。

浦島太郎現象が体温計。
各ベットに装備されていた。
テルモ製品だった。

デジタル表示になっている。
幾ら浦島現象とはいえ
デジタルであることを驚きは、しない。
驚いたのはスイッチがない事。
ケースから抜くと、さぁどうぞとゼロにリセットされて臨戦態勢をとる。
ケースに入れるとケースの窓からOFF状態が確認できる。
どこかにスイッチがあるはず、どこ?

本体を矯めつ眇すがめつ舐めるように観察してみる。
それらしいものは、なし。

ケースのほうは?
内側に薄い板状の黒いものが見える。
これだな。
板磁石が内張りされている。
と言うことは、本体のこの位置にそれに反応させる磁石が内臓されているのだろう。

では、本体を表裏反対で入れたらON,OFFの作用はするのか?
した。
それならケース外からなら?
しない。

磁場強度は、ケース内外では大きく違うということになる。
磁力の伝わり方は、間に挟まれた素材によって違ってくる。
空気であれば距離で違ってくるだろうし。
などと同室の室工大生と小さく盛り上がっていた。
「電気の場合は、伝導率で比較できるよね。」と俺。
「単純に伝導率と言えば電気だけに限らず熱も伝導率で比較しますから、
磁力も伝導率を使うのではないでしようか。」

ちと調べてみた。
電気だと電気抵抗、磁気だと磁気抵抗。
抵抗は、素材やその時の環境などの違いでその伝導率に違いがある。
俺の知的水準では、この程度の理解で十二分に満足なり。
体温計にスイッチの見えないことに感心をしていた。

今日の主題、濃密で怪しい世界への入る。


ある日の朝、病室から。












2019年9月15日日曜日

おどる、おどらない。

9月13日金曜日執刀医ウリタ先生の診察日。
明日退院させて欲しいと談判を決行する日。

8月25日の日曜日に千歳で怪我を負いその街の市立病院まで救急搬送を受ける。
右鎖骨骨折プラス2本の肋骨骨折と診断を受ける。
結局肋骨骨折は、5本となる。

直接生命に及ぶ怪我ではないので自宅の札幌で治療を受けることにした。
その日は、友人に救援してもらって自宅まで自転車共に送り届けてもらう。
そして翌26日紹介状とレントゲン写真のコピーCDを
携えて10分歩きスポーツ外科と看板を出す病院に出向く。

そこでもさらにレントゲンとCTスキャンで診察を受けた。
受け入れ出来ずと診断される。
右肺が8割程度に萎しぼんでいた。
転倒の衝撃から肺もダメージを受け穴が空いていた。
肺気腫と言うやつ。
右鎖骨は、プレート固定手術が望ましい。
が肺気腫を併発しているとうちでは手術できないのだという。

手術の時、全身麻酔を掛けられる。
麻酔って何?
改めて説明しようとすると、神経:痛みを感じなくなせる方法。
と答える。
部分麻酔は、局所付近。
全身麻酔なら文字通り全身。
これくらいの認識しかない。

神経を麻痺させるということは、痛みだけでなく筋肉の動きもできなくなることになる。
これが全身となると体中の運動を停止させられることになる。
脳みそは、筋肉ではないけれど思考すらできない。

心臓の運動も弱いものになる。
血管は、弛緩してしまい広がるのだという。
そうなると血圧の低下が起きる。
肺の働きも弱くなっているので生命を維持させる酸素が全身に行き届かない。
更に自身で呼吸をコントロールできないので酸素不足が生じる。
そこで気道に2本のチューブを差し入れ両肺に酸素を強制供給することになる。

その時に肺に穴があいていたら?
単純にその危険が理解できる。
抜け出た酸素が肺をつぶして肺が逝かれてしまうことになる。

その危険があるのでうちでは受け入れられないという。
ではどうするか?
その場合は、胸にチューブを差し流れ出た血液と空気を抜くそうな。
朝焼け、退院日の病室から。












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