戦後の話。
本格チョコレートを作る神戸の菓子職人が書かれていた。
本格チョコレートとは?
搔い摘むとチョコの原料カカオ以外に添加物を使用していない。
カカオ原料のみでペースト状のチョコの素、カカオリカーが出来上がる。
冷却して固形化したものがカカオマスと呼ぶ。
その品質もピンキリがある。
ピンは、フランスで決められた厳格な国際規格まであるそうな。
その規格に沿って作られるのが
クーベルチュール・チョコレートと言うらしい。
元々は、キャンディやケーキのコーティング用原料として作られた。
クーベルチュールは、覆うという意味。
何のために覆うかというと多分水分を保つため。
ではなかろうか?
クーベルチュール・チョコレートにも種類や品質によりランクがあるらしい。
そのクーベルチュール・チョコレートは、超高級。
ヨーロッパからの輸入になる。
戦後という時代もあって一般の菓子職人では、入手が難しい。
伝手つてで輸入出来た職人がその原料を加工して
主人公である熊吾一家に味見をしてもらう。
それ、食べてみたいなぁ。
脂肪分が多く随分濃厚な味、と説明されているサイトが多い。
どんな味かなぁ?
スマートフォン同様の大きさ |
ちょいと道を逸れる。
ピンキリの語源は?
語源由来辞典によれば点がピン。
キリは、×。
ポルトガル語で点を意味するピンタが変じてピン。
カメラのピントもそこからだべか。
事の始まりは、一いちからということで最上級。
×は、文字通り最下級。
それをキリと呼んだのは、クルス:十字架から。
これもポルトガル語。
何れもポルトがル語となればピンキリの起源は、江戸時代の長崎出島だろうか。
過日、初の日本産チョコレートが発売されたと新聞に紹介があった。
小笠原諸島の母島で栽培をしたカカオが原料。
高い!!
本格チョコレートなるものに興味のなかった時なら、
「へぇ~。」で済ませた話。
だが熊吾のチョコが心に巣くっていた自分には、素通りできるはずのない記事。
サイトで調べて発注。
そ奴が届き
昼食の後にコーヒーを飲みながら口にしてみる。
口溶けは、すこぶる速やか。
僅かな酸味あり。
苦み?・・・なし。
香りが立つかと思いきや無いと言っていい。
甘さは、うんと控えめ。
後味、全くなし。
フ~ム、まぁ、こんなものか。
個性というやつをどこかに置いてきた。
そ、一口で表現する「フン!」、こんな印象。
そしてその夜。
ビールで喉を潤し、リンゴのシードルで料理を頂き
純米浦霞をグビッと飲みながら今一度TOKYO COCOAを食べてみた。
「ええ~~っ!!」
二人は、顔を見合わす。
個性が顔を出している。
それもとびっきりの上品さで。
昼に感じたただの単純な酸味から幾重にも織り重なった複雑なものに変わっている。
繊細な模様と色を持つペルシャ絨毯の如き重厚さ。
感じなかったカカオの香りも後から湧き上がってくる。
送られてきた商品は、タテ・ヨコ6cm×6cm厚さ3mm位。
昼にその3分の一。
夜も同じ。
女房と食したその量たるや2cm×6cm。
それをさらに三分の一ほど、ほんの僅かを歯に当て嚙み割って舌で溶かす。
これだけの量なのにこやつの宇宙が我が脳を支配した。
口中で目一杯に「ど~お?」と媚態を見せる。
溢れる媚態を見せながら後を引かない。
実力あるものは、引き際も鮮やかなり。
料理や酒の味に触るような癖が全くない。
なんという控えめな奴。
昼の顔と夜の顔が違ってくるのはどんな訳があってのことなのだろう。
コーヒーとの相性?
事の真相は、判らない。
が、とにかくも人生最初の日本産超高級チョコレートは、
想像の枠を超え存分に興奮させてくれた。
興味を覚えた方は、TOKYO CACAOで検索するとすぐにヒットするはず。