2024年6月15日土曜日

行けるところ、

 記録は実力通りにしか出ない

その当たり前を認識させられる。


2024年6月8日早朝の4時、自宅を出発。

空はもう明るい。

早夏の空が広がる。

箒掃の雲だけが僅かに浮かんでいた。

風は、南から吹いていた。


5時札幌テレビ塔前を出発した11台のロードバイク。

北1条通りを東に向かう。

市内を抜けるまでは一列縦隊でトップ交代も無し、ゆっくりと街を抜ける。

心拍は、まだ上がらない。

雁木大橋を渡り国道275号に入りローテーションが始まる。

少しずつ心拍が上がり始める。

まだ空いていない俺の窓。

心肺が走る体制に入ることを窓が開くという。

心肺が苦しい。

脚が回らない。

千切れ気味になる。

が、頻繁に登場する信号の赤がこのGGを助けてくれる。

走りの準備が整いつつある。

しかし、この窓が全開になるまでもう一度苦しい時間をやっつけなければならない。

このGGの窓は、二重になっている。

新石狩大橋を過ぎたころにやっと全開状態となる。

そのときには既に千切れた状態。

焦らない。

当別の直角カーブまでに必ず信号待ちが助けてくれるはず。

で、計算通りに信号待ちのアシストを得てトレインに合流。

さてここからが勝負。

2015年北海道一周三日目朝
利尻富士








当別を過ぎると北方向の走行になる。

追い風を背に快走トレインが組み上がる。

窓が全開となったいま、自分の脚を点検してみる。

軽快にケイデンスを刻んでいる。

トレインにも乗れている。

スタートから50km地点で1回目の休憩。

次の休憩ポイント雨竜までも快適にライドできていた。

北野さんから走れているね、と声がかかる。

いけるか!

2回目の休憩ポイントを過ぎた雨竜から登り基調。

そして小さな峠。

足に重さを感じてきた。わずかに遅れだす。

が、本隊は峠で千切れを待ってくれていた。

下り坂

本隊の下りは、速い。

ここでも少しの遅れ。

峠を降りて山間のゆるい上り下り区間。

千切れを起こす。

が、焦りはない。

もう少し走れば留萌の休憩ポイントとなる。



突然にcrampがきた。

両足の内転筋を襲う。

足の付け根から膝まで鉄筋が出来上がった。

ピンディングを外すことさえできない。

路肩の深い段差にバイクを添わせ左足を捻じる。

かろうじてピンディングが外れる。

段差の上に左足を乗せる。

そのままで時間を送る。

攣りの強度がわずかに下がったところで右ピンディングも外した。

両足にストレッチを入れる。

攣りがやや治まる。

バイクを回す。



だめ。

先の動きをもう一度繰り返す。

今度は、バイクを押しながらcrampを鎮めてゆく。

乗ってみる。

軽くならまわせる。

あと少しの休憩ポイントを目指す。

コンビニ休憩のチームに合流。

ギブアップを宣言。

が、少し休むと行けるかもしれないとけしかける者あり。

総合ミネラル液をたっぷり擦り込む。

いけるか!?

再スタート。


1kmも走ったか、やはりだめ。

完全離脱を決めた。

サイクルコンピューターは、154kmを示していた。

あとは、サポートカーに乗っているだけ。

座っていても攣りがくる。

いつ襲われるか知れない。

撮影の手伝いもできない。

時々襲うcrampにのたうちながら皆の走りと景色を楽しんでいた。

POTAさんの撮影場面がユニーク。

これも楽しめた。


悔しさは、ない。

脚ができていないのだから仕様がない。

自分の中の異次元の走りで150kmまでは行けた。

そう、あと150km分の足を作れば稚内までいけるのだから。

一団の自転車走行音が心地よい。

その向こうに海が広がる。

そしてその海に浮かぶ利尻富士から走行の塊音がこだまして聞こえた。

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