2022年2月23日水曜日

いよいよ、なのだが新聞配達員の遭難

いよいよ
以前にもここに書いたことがある。
いよいよは、弥生の変化。
物事の勢いを指す言葉でもある。
弥生は、いやよい とも読む。
弥栄 いやさか という使い方もある 弥 いや。
ますますという意味を持つ。
















ここ札幌は、まだまだ雪深い。
雪深いどころか更に追い打ちをかけてきた。
が、これは春の訪れのための儀式なのだ。

春に切り替わろうとする時期に必ず訪れる
冬将軍と春の女神との勢力争いでそれは起きる。
冬将軍と春の女神は、身内同士。
自然家の兄弟関係。
その兄弟同士の骨肉の勢力争いなのだから
それは凄まじい衝突が起きる。
我々は、その嵐の中でなすがままに翻弄される。

それにつけても今回の嵐は凄まじかった。
このGGは、去年から新聞販売所で夕刊の配達にプラス
朝の電話番アルバイトもしている。
配達員の未配や誤配で顧客から問い合わせの電話が入る。
申し訳ありませんと朝刊をお届けする仕事が電話番。

22日朝は24時間の降雪が22cmと少ない。
が、強い風で深い深い吹き溜まりができた。
配達員からその雪が壁になって投函できないと連絡あり。
どんなだろう?
代配に出動。
興味津々で現場に到着。
ああ失敗、写真を撮っておくべきだった。
ないのだからしょうがない、話を進める。

第一印象
2階から出入りだな。
門からすでに1mほどの雪壁になっている。
その先は、更に深さを増している。
玄関フードの8割が雪に埋まっている。
一瞬動きが止まる。
ここは、スルーしようか?

いやいや、やるべぇ。
履物は、長靴。
その上に膝までのカバーも装備している。
意を決して侵入開始。
まずは、下半身が埋没する。
怯まずに片足を引き抜き前進させる。
さらに膝上から腰まで埋まる。
やっぱり引き返そうか?
いやあと1m少しで玄関フードの引き戸にたどり着ける。

えいやっ!
勇ましくあと2歩を前進させる。
ついに胸まで埋まっていた。
むりやり引き戸を少しだけこじ開けて新聞を放り込む。
新聞は、ラッピング済なので少々濡れようが汚れようが構わない。

さて、後戻りは?

胸まで埋まっていて身動ができない。
上体を寝かせて足の自由をなんとか取り戻し引き抜く。
そのまま横に転がり、一段浅い自分の足穴に足場を得て門外へ脱出。

途端不安が襲う。
この家の住人は、どうなるのだろう?

野中の一軒家ではない。
住宅街の中での話。
近所の付き合いもあることだろう。
と自分を納得させて事務所に帰る。
帰ってからのこと、上着の両ポケットが重い。
手を入れると冷たい。
雪との葛藤の際に塊となって残っていた。

自転車やらクロカンスキーやら日々のトレーニングで
柔らかな股関節があったおかげで配達ができたし帰還もかなった。
あのまま身動き出来ずに雪穴に埋もれている図は、滑稽を通り越し
悲哀にくれるジジィーとなる。
ポケットの塊雪を握り見つめる俺なのでありました。



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